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2014年3月18日 (火)

梅の丘

家から歩いて5分ほどの所に、梅林の丘がある。

坂を上り切るとそこに、家が8軒ほど立ち並ぶ空間があり、その一番端にある。
晴れた冬にはくっきりとした富士山が見える。
そこの梅が満開である。
側を通るとき、梅の香がして、思わず鼻の穴を膨らましてしまう。
夫は、ピンク色の梅を見ると唾液が出るという。
梅ガムを思い出すから。
どこまで食い意地が張っているのだろうか。
「梅の木は食べないでよ」と言うと、
綺麗だとは思うのだけれど、身体が勝手に反応するのだからしょうがない、と。

昨日、いつものように梅の丘で立ち止まっていたら、
自転車に乗った2人のご婦人が通りかかり、ふと、降りた。
夕陽がまあるく、大きく梅の木を照らし出している。
しばらく見入っていたが、そのうちの1人が「そろそろ行かなくては」と。
するともう1人の60代半ばくらいのご婦人が、
「私はもう少し見ているわ」と。
「そうですか?」
「あなたまだお若いから。年取るとね、こういうのが良くて」
ピンク色の濃い枝垂れ梅の横に、薄ピンクの梅がある。
枝が上向きな薄ピンクの方が夫はいいと言うが、
私は枝垂れた方が好みかもしれない。
そのうち、夕陽のだいだいに梅の木が染まり始め、
輪郭がぼんやりと滲み出す。
ご婦人の後ろ姿が黄昏に溶け込み、
梅の精ではないかしら、と、ふと思う。



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